シャボン玉の色のしくみを使った、新しい絵の具!?
以前のサイエンスメモで、シャボン玉の新しい使い道についてのお話をしましたね。
そんなシャボン玉について、突然ですが1つクイズをしてみたいと思います。
シャボン玉って、何色ですか?

この写真のように、シャボン膜が光に当たると、虹のようなたくさんの色が見られます。
この色は、シャボン液についている色ではありません。
シャボン玉の表面にあたった太陽のような白い光が反射するときに、特定の色の光だけが見えやすくなるために現れるものです。
どの色が見えやすくなるかは、シャボン膜の厚みで決まります。
そのため、膜の厚みがどんどん変わるシャボン玉では、表面に虹色が現れて、その色合いが次々と変化していくようすが観察できるのです。
このように、薄い膜にあたった光がはねかえるときに現れる色を、構造色といいます。
構造色は、シャボン膜だけでなく、チョウやタマムシといった昆虫や、クジャクなどの鳥の羽などでも見られます。

この構造色のしくみを使って、赤、青、緑の3つの色を出す絵の具が、今年の7月、名古屋大学などの研究グループによって開発されました。この研究では、シリカとよばれる材料でできた細かい粒を特殊な油に溶かすことで、構造色が現れた絵の具を作っています。
この絵の具に使われているシリカとは、公園の砂に含まれているものです。また、お菓子の箱に吸湿材として入っているシリカゲルにも使われています。天然にある材料を使っていて環境への負担が小さいことも、この絵の具のいいところです。
ただ、この絵の具に入っているシリカは、シリカゲルの1万分の1ほどのとても小さな粒になっています。しかも、構造色を出すために、粒の大きさがぴったりとそろえられているんです。
私たちの身近な材料であるといっても、おうちで作れる絵の具ではないですね。
この絵の具が今後、わたしたちの身の回りで使われるようになるかはまだわかりませんが、構造色そのものは、シャボン玉やCDの裏側、そして昆虫や鳥などさまざまな生きもので見られるものです。
みなさんもぜひ、身のまわりの構造色を探してみてください。
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