身近ないきものを再発見!
5月5日、臨時休館中のつくばエキスポセンターで、カブトムシの幼虫プレゼントのイベントを行いました。
この幼虫たちは、昨年の夏休みに相談コーナーにいたカブトムシが卵を産み、その卵が孵ったものです。当日は、ドライブスルー形式で50匹のカブトムシの幼虫を来館者にお渡ししました。

カブトムシは、夏休みに森で捕まえたり自由研究で育てたりした方も多い、わたしたちになじみ深い昆虫ですよね。しかし、そんなカブトムシにも実は、まだわかっていないことがたくさんあるんです。
先日、山口大学らのグループが、カブトムシの幼虫に関するおもしろい発見をしました。青森から台湾までの12の地域でカブトムシの幼虫を捕まえて、同じ条件で育てたところ、北に住んでいるカブトムシのほうが早く成長することが分かったのです。
台湾などの南の地域に住んでいるカブトムシの幼虫は、100日ほどかけてゆっくり成長します。一方で、青森などの北の地域に住んでいるカブトムシの幼虫は、60日ほどで勢いよく成長し、そのあとはあまり大きさを変えずサナギになるのを待っていました。
さらに研究を進めた結果、北のカブトムシと南のカブトムシで、食べるえさの量と食べたものを体に取り込む効率が大きく違うことがわかりました。
このように成長の速さがちがう理由としては、北の地域のカブトムシは雪が降って成長できなくなる前に早く大きくならなければいけないから、などが考えられています。
有名な昆虫であっても、新しい事実が発見されることがあるんですね。カブトムシに関しては昨年も、オスとメスで角の形が変わるしくみが発見されるなど、今でも研究が進んでいます。

ほかにも、夏によく見かけるアブラゼミが、実は地上に出てからも1か月くらい生きていることが分かったのは、つい1年前。しかも、発見したのは岡山県の高校生でした。
発見者の彼は、夏真っ盛りにセミの死骸をあまり見かけないことから、セミの寿命に疑問を持ったそうです。そこで、およそ2か月にわたって、セミを捕まえては油性ペンで番号を書いてから放すという実験を行って、セミが意外に長生きであることを突き止めました。
こんなふうに、身近な生き物であっても、わかっていないことや、実はだれも調べていなかったことがたくさんあるんですね。よかったら、みなさんも身近な生き物について、疑問に思うことを実験してみてはいかがでしょうか。
参考資料